8月22日 19日目見聞録 3項目
最低なことをした自覚はある。
自覚ある悪が、最も質が悪いということも承知の上で、僕は2時間その方を待たせたカスです。
最寄駅に着いた。
改札前に彼はいた。
爽やかな青年だった。
軽く挨拶をして、僕は謝って、飯を食べる流れになった。
夜はもう更けている。
食べたい店を聞かれたが、何があるのか分からず、その18fes参加者のAくんがオススメする店に行きたい旨を伝えた。
開いている店も少ない中で、『なら、油そばを食おうぜ』
後々、何度もお世話になる彼の自宅付近は、映画館、ファストフード店、スーパー、寿司屋、麺類、惣菜屋、だいたいなんでもお店が揃っていることに気づくことになる。
その中で油そばが美味しいからと連れて行ってもらった。
食券を買う時に、僕は何も言っていないが、『今日はもてなすよ』と言ってくれた。
お言葉に甘えた。
腹が減っているのか聞かれて、しばらく大したものを食べていないことを口走ると、油そばの大盛りを躊躇なく頼んだ上に、ライスが合うからとライスも注文することになった。
僕はとてもありがたかった。
食べている間、精一杯僕の旅の経験や、自分の夢のこと、A君について詳しく聞いた。
目を見て聞いてくれて、とても聞き上手な方だと感じて、沢山話させてもらった。
そして、充実した時間も終わりを迎える。
皮肉なことに、1日貰い物のお菓子だけを腹に詰め込む日があることもザラだった僕の胃は、想像を絶するほどに縮んでいた。
麺類なら、全て汁まで乗りました平らげる僕が終盤でお箸が進まなくなったのだ。
眼前に佇む油そばは食べても食べても減ることを知らず、結局ライスは完食したが、油そばはあと一歩及ばなかった。
A君にも、お店の方にも非常に申し訳ない気持ちになった。
『残してしまってすみません』と言うと、お店の方は笑顔でいいですよ!と言ってくださった。
ごめんなさい。
そのことについて、『残してしまってすみませんって謝れる事は、素敵な事だと思う』とA君は言ってくれた。
泊まるところは決まっているのか聞かれた。
決まっていないことを伝えると、泊まっていきな、と言ってくれた。
どこまで至れり尽くせりなんだと感じた。
旅を通して、何かを勧められた時に遠慮することを忘れた僕は、無論泊めてもらうことにした。
吐きそうになりながら、彼の家に向かう。
近所のセブンイレブンで、『夜を彩るものを買おう』と言って、アップルジュースと水を買った。
シャワーも借りた。
その夜は、ひたすらに語り合った。
お互いの夢や想いや考えを。
素敵な人物との出会いだった。
この日は、あまりにも濃い1日だった。